Pfizerのビラフトビ®の併用療法、第III相BREAKWATER試験において、無増悪生存期間と全生存期間を有意に改善
本資料は、小野薬品工業株式会社 (以下「小野薬品」)がライセンス契約を締結しているPfizer Inc.が2025年2月3日(米国現地時間)に発表した英語原文のプレスリリースを和文抄訳として提供するものです。和文抄訳の内容につきましては、英語原文が優先されます。英語原文のプレスリリースは、https://www.pfizer.com/newsroom/press-releases をご覧ください。
なお、日本においては、2024年12月12日に小野薬品が、BRAF阻害剤であるビラフトビ®(一般名:エンコラフェニブ)について、抗ヒトEGFRモノクローナル抗体であるセツキシマブと化学療法の併用療法による「BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」に対する効能又は効果に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行っています。
本資料は、小野薬品がライセンス契約している米国ファイザー社が2025年2月3日(米国現地時間)に発表しました
プレスリリースの和文抄訳であり、内容につきましては英語原文が優先されます。
Pfizerのビラフトビ®の併用療法、第III相BREAKWATER試験において
無増悪生存期間と全生存期間を有意に改善
- ビラフトビとセツキシマブおよびmFOLFOX6の併用療法は、BRAFV600E 遺伝子変異を有する進行・再発の結腸・直腸がん患者において、無増悪生存期間で統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。
- ビラフトビの併用療法は、2024年12月にファーストライン治療として迅速承認されました。
- 本試験の結果は、正式承認への移行を支援するものとしてFDAに提出されます。
(ニューヨーク州ニューヨーク、2025年2月3日)- Pfizer Inc.(NYSE:PFE、以下、Pfizer社)は、本日、BRAFV600E 遺伝子変異を有する進行・再発の結腸・直腸がん(CRC)患者を対象に、ビラフトビ®(一般名:エンコラフェニブ)とセツキシマブ(ERBITUX®の製品名で販売)およびmFOLFOX6(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン)の併用療法を評価した第III相BREAKWATER試験の無増悪生存期間(PFS)解析において、肯定的なトップライン結果が得られたことを発表しました。本試験において、ビラフトビとセツキシマブおよびmFOLFOX6の併用療法群は、ベバシズマブの併用もしくは非併用の化学療法群と比較して、2つの主要評価項目のうちの1つである盲検下独立中央判定(BICR)で評価されたPFSで統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。さらに、ビラフトビの併用療法は、本試験の主要な副次評価項目である全生存期間 (OS) において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。
Pfizer社のオンコロジー開発担当責任者(Chief Oncology Officer)であるRoger Dansey(M.D.)は、次のように述べています。「私たちは、今回のBREAKWATER試験から得られた臨床的に意義のある無増悪生存期間と全生存期間の結果に大変満足しており、これらの結果はこれまで治療選択肢が限られ、予後が不良であった患者集団に対して治療法の変革をもたらす可能性があります。ビラフトビの併用療法は、BRAFV600E 遺伝子変異を有する進行・再発のCRC患者に対するファーストライン治療としてより早期からの使用を推奨する初めての標的治療薬として承認されています。今後、世界中のより多くの患者さんにできるだけ早くこの治療法をお届けできるよう、各国の規制当局と本試験のデータについて協議を進めてまいります。」
ビラフトビ併用療法は、本試験のもう1つの主要評価項目である奏効率(ORR)で臨床的に意義のあるかつ統計学的に有意な改善が示されたことに基づいて、2024年12月、治療歴のないBRAFV600E 遺伝子変異を有する進行・再発のCRC患者を対象として、米国食品医薬品局(FDA)により迅速承認されました。ORRの結果は、2025年の米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI)にて発表されるとともに、2025年1月号の ネイチャー・メディシン誌 に掲載されました。
ORRの解析時点で、ビラフトビとセツキシマブおよびmFOLFOX6の併用療法の安全性プロファイルは、これまでに各薬剤で報告されている安全性プロファイルと一貫していました。新たな安全性シグナルは認められませんでした。詳細な解析結果は今後の学会にて発表する予定です。
ビラフトビ併用療法の承認は、進行性または再発性のがんに対する新たな治療薬の開発と承認を支援することを目的としたFDAのProject FrontRunnerのもとで実施された業界初の承認の一つです。BRAFV600E 遺伝子変異を有する進行・再発のCRC患者を適応とした、ビラフトビとセツキシマブおよびmFOLFOX6の併用療法の正式承認を支援するものとして、当社は本試験の最新のPFSの結果をFDAに提出予定です。また、同じ適応症でビラフトビ併用療法の追加承認を将来的に申請できるよう、他の国の規制当局ともBREAKWATER試験のデータについて協議を行っています。
BREAKWATER試験について
BREAKWATER試験は、前治療歴がないBRAFV600E 遺伝子変異を有する進行・再発の結腸・直腸がん患者を対象に、mFOLFOX6との併用と非併用の場合を含むビラフトビとセツキシマブの併用療法を評価した多施設無作為化実薬対照非盲検第III相試験です。患者は、ビラフトビ 300 mg 1日1回経口投与とセツキシマブ併用(158例を無作為化後に中止)、ビラフトビ300 mg 1日1回経口投与とセツキシマブおよびmFOLFOX6 の併用(n=236)、ベバシズマブの併用もしくは非併用のmFOLFOX6、FOLFOXIRIまたはCAPOX投与(対照群)(n=243)に割りつけられました。2つの主要評価項目は、盲検下独立中央判定(BICR)で評価されたORR(すでに達成)および無増悪生存期間(PFS)です。主要な副次評価項目は全生存期間です。
結腸・直腸がん(CRC)について
CRCは、世界で3番目に多いタイプのがんであり、2022年には約180万人が新たに診断されています 1。がんによる死亡原因の第2位となっており 2、男性の約23人に1人、女性の約25人に1人が、一生のうちにCRCを発症するリスクがあります 2。米国だけで、2024年に推定152,810人が結腸または直腸がんと診断され、毎年約53,000人が亡くなられていると推定されています 3。CRCと診断された患者の20%に転移が認められ、治療を困難にしています。また、限局性がんの場合でも、最終的には患者の50%が転移に至ります 4。
BRAF 遺伝子変異は、進行・再発のCRC患者の 8~12%に発症すると推定されており、これらの患者の予後は不良です 5。BRAFV600E 遺伝子変異は最も多いBRAF 変異で、BRAFV600E 遺伝子変異を有するCRC患者の死亡リスクは、遺伝子変異がない患者の2倍以上です 5,6。BRAFV600E 遺伝子変異を有する進行・再発のCRCは、大きなアンメットニーズが残された領域であるにもかかわらず、2024年12月20日まで、前治療歴のないBRAFV600E 遺伝子変異を有する進行・再発のCRCを適応とする、バイオマーカーに基づく治療薬は承認されていませんでした 7,8。
ビラフトビ® (エンコラフェニブ)について
ビラフトビは、BRAFV600E 変異を標的とする経口低分子キナーゼ阻害剤です。CRCを含む一部のがんにおいては、MAPKシグナル伝達経路(RAS-RAF-MEK-ERK)におけるタンパク質の不適切な活性化が生じることが示されています。
Pfizer社は、米国、カナダ、南米、中東、アフリカにおけるビラフトビの独占的権利を保有しています。小野薬品は日本および韓国で同剤を商業化する独占的権利を、Medison社がイスラエルで同剤を商業化する独占的権利を、Pierre Fabre Laboratories社が欧州およびアジア(日本および韓国を除く)を含む他のすべての国において同剤を商業化する独占的権利を保有しています。
ビラフトビの適応症および重要な安全性情報について
米国でのビラフトビの適応症および重要な安全性情報については、英語原文のリリースをご参照ください。
Pfizer社オンコロジーについて
Pfizer 社オンコロジーは、がん治療の新時代の最前線に立っています。業界をリードする当社のポートフォリオと幅広いパイプラインには、低分子、抗体薬物複合体(ADC)、二重特異性抗体(その他のがん免疫療法生物製剤も含む)など様々な角度からがんを攻撃する3種類の作用機序が含まれます。Pfizer 社オンコロジーは、乳がん、泌尿生殖器がん、血液がん、肺がんを含む胸部がんなど、世界で最も多く見られるがん種を対象に革新的な治療薬の提供に力を注いでいます。サイエンスを活用して、Pfizer社オンコロジーは、がん患者さんの生活を改善し寿命を伸ばすブレークスルーを生み出すべく取り組んでいます。
Pfizer社:患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす
Pfizer社はサイエンスとグローバルなリソースを活用し、人々が健康で長生きし、生活を大きく改善するための治療法をお届けしています。私たちは、画期的な医薬品やワクチンをはじめ、ヘルスケア製品の探索、開発および製造における品質、安全性および価値の基準設定に取り組んでいます。日々、Pfizer社の社員は、現代の最も恐れられている疾患に挑むべく、健康、予防、治療および治癒を促進するため、先進国および新興国市場で貢献しています。世界最高クラスの革新的なバイオ医薬品企業の責務として、世界中で信頼でき、容易に入手できるヘルスケアへのアクセスを支援し、拡張できるように医療従事者、政府、地域社会と協力しています。175年にわたり、Pfizer社は私たちに信頼を寄せてくださる皆様のために、前進を続けてきました。私たちは、定期的に投資家にとって重要と思われる情報をウェブサイト( www.pfizer.com )に投稿しています。詳細については、www.pfizer.com をご覧いただくか、@Pfizer と @Pfizer_News でX、LinkedIn 、YouTube および Facebook.com/Pfizer でFacebookをご覧ください。
参考文献
- American Cancer Society. Global Cancer Facts & Figures 5th Edition. Available at: https://www.cancer.org/content/dam/cancer-org/research/cancer-facts-and-statistics/global-cancer-facts-and-figures/global-cancer-facts-and-figures-2024.pdf. Last accessed: December 2024.
- American Cancer Society. Key Statistics for Colorectal Cancer. Available at: https://www.cancer.org/cancer/types/colon-rectal-cancer/about/key-statistics.html. Last accessed: December 2024.
- American Cancer Society. Cancer Facts & Figures 2024. Available at: https://www.cancer.org/content/dam/cancer-org/research/cancer-facts-and-statistics/annual-cancer-facts-and-figures/2024/2024-cancer-facts-and-figures-acs.pdf. Last accessed: December 2024.
- Ciardiello F, Ciardiello D, Martini G, et al. Clinical management of metastatic colorectal cancer in the era of precision medicine. CA Cancer J Clin. 2022;72:372–40.
- Josep Tabernero et al., The Evolving Treatment Landscape in BRAF-V600E–Mutated Metastatic Colorectal Cancer. Am Soc Clin Oncol Educ Book 42, 254-263(2022). DOI:10.1200/EDBK_349561
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- NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®) for Colon Cancer. V.5.2024 © National Comprehensive Cancer Network, Inc. 2024. All rights reserved. Accessed December 2024. To view the most recent and complete version of the guideline, go online to NCCN.org.
- Cervantes A, Adam R, Roselló S, et al. Metastatic colorectal cancer: ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up.