欧州委員会がDeciphera社の腱滑膜巨細胞腫(TGCT)治療薬ROMVIMZA™(vimseltinib)を承認
- 欧州委員会がvimseltinibを腱滑膜巨細胞腫(TGCT)治療薬として承認
- VimseltinibはTGCT治療薬としてEUで初めて販売承認された唯一の治療薬
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:滝野 十一、以下「当社」)は、欧州時間2025年9月17日に欧州委員会(EC)が、当社の完全子会社であるDeciphera Pharmaceuticals, Inc.(米国マサチューセッツ州、以下「Deciphera社」)が研究、開発したキナーゼ阻害剤であるROMVIMZA™(一般名:vimseltinib)を臨床的に重要な身体機能の低下を伴い、外科的治療による効果が期待できない、または外科的治療により耐え難い病状や障害が生じる可能性のある腱滑膜巨細胞腫(TGCT)の成人患者の治療薬1として承認したことをお知らせします。
Deciphera社の社長である宇田川 良太は次のように述べています。「VimseltinibがTGCT治療薬としてECに承認されたことは当社の成長にとって重要な節目となるものです。欧州のTGCT患者さんにとって手術以外で負担の少ない治療法は待ち望まれており、当社のグローバルな事業基盤を活かし、vimseltinibを欧州の患者さんにいち早くお届けできることを大変嬉しく思います。今後も各国の保健当局と連携し、vimseltinibの恩恵を受けられるすべての患者さんが、速やかに治療を受けられるよう努めてまいります。」
Leon Berard Centerの病院長であるJean-Yves Blay, M.D., Ph.D.は次のように述べています。「Vimseltinibが欧州でTGCTに対して初めて承認された治療薬となったことは、TGCTコミュニティにとって非常に喜ばしいニュースです。TGCTは、痛みやこわばり、可動域の制限などにより、患者さんの日常生活に大きな影響を及ぼします。Vimseltinibは、これまで十分に満たされていなかった患者さんのニーズに応えつつ、良好な安全性を示した新しい治療選択肢です。」
当社の代表取締役社長である滝野 十一は次のように述べています。「このたび、vimseltinibが欧州で承認されたことを大変嬉しく思います。私たちのめざす世界の患者さんに貢献するグローバルスペシャリティファーマとしての目標実現にまた一歩近づくことができました。Vimseltinibの承認は、治療薬のなかった欧州のTGCT患者さんへ新たな治療選択肢を提供するものであり、当社の企業理念を具現化するものです。今後も、革新的な医薬品の開発と提供に努め、世界中の患者さんに貢献してまいります。」
欧州委員会(EC)による承認は、手術が適応とならず、抗CSF1/CSF1R療法の治療歴がないTGCT患者(イマチニブまたはニロチニブによる治療歴は許容)を対象とした、vimseltinibの第Ⅲ相MOTION試験における有効性および安全性の優れた結果に基づいています(プラセボとの比較)。また、第Ⅰ/Ⅱ相試験の結果1も承認の根拠となっています。主要評価項目では、25週時点でvimseltinib群がプラセボ群と比較して、可動域、患者報告による身体機能および疼痛において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が認められました。副次評価項目でも、25週時点でプラセボ群と比較して、腫瘍体積スコア(TVS)による客観的奏効率(ORR)、可動域(ROM)、身体機能、こわばり、生活の質(QOL)、疼痛の6つの主要な副次評価項目すべてにおいて、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示されました1。97週時点の記述的解析では、vimseltinib群に割り付けられた患者の23%(n=19/83)がRECIST v1.1基準に基づく完全奏効(CR)を達成しており、中央値は11.5ヶ月でした(盲検下の独立放射線学的評価IRRによる判定)。Vimseltinibの安全性プロファイルは管理可能であり、第Ⅰ/Ⅱ相試験でこれまでに報告された結果と一貫しています1。副作用や用法・用量、その他の注意事項についての詳細は、製品概要をご参照ください。
腱滑膜巨細胞腫(TGCT)について
TGCTは、コロニー刺激因子1(CSF1)遺伝子の転座によって、CSF1の過剰発現とCSF1R陽性炎症細胞の病変への集積により引き起こされる希な疾患で、関節の内側または近位に発生する希な非悪性腫瘍です2。標準治療は手術による腫瘍切除ですが、特にびまん型のTGCTではこれらの腫瘍が再発する傾向があります。治療を行わなかった場合、または腫瘍が継続的に再発すると、影響を受けた関節および周囲の組織に損傷と変性が生じ、重大な障害を引き起こすことがあります。一部の患者では、外科的切除は機能制限の悪化または重篤な病状を引き起こす可能性があり、また、全身治療の選択肢は限られており、TGCTに対する新たな治療選択肢が必要とされています2 3。
Deciphera Pharmaceuticals Inc.について
(2024年6月11日に、Deciphera社は小野薬品工業株式会社の完全子会社となりました。)
Deciphera社は、がん患者さんの生活を改善するための新薬の開発、商業化に注力しています。Deciphera社独自のスイッチコントロールキナーゼ阻害剤プラットフォームとキナーゼ生物学の専門知識を活用して、革新的な医薬品の幅広いポートフォリオを開発しています。
Deciphera社は臨床試験段階のプラットフォームから複数の製品候補の開発を進めており、その中でスイッチコントロール阻害薬であるQINLOCK®は消化管間質腫瘍(GIST)の四次治療薬として、米国、欧州連合および複数の国々で承認されています。ROMVIMZA™(vimseltinib)は、外科的切除により機能制限の悪化または重篤な病状を引き起こす可能性があるTGCTの成人患者に対する治療薬として米国で承認されました。欧州では臨床的に重要な身体機能の低下を伴い、外科的治療による効果が期待できない、または外科的治療により耐え難い病状や障害が生じる可能性のある腱滑膜巨細胞腫(TGCT)の成人患者の治療薬として承認されています。
詳細については、www.deciphera.com をご覧いただくか、LinkedInおよびX(@Deciphera)でフォローしてください。
将来の見通しに関する記述についての注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実に基づくものではない記述は、将来の見通しです。これらの記述は現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)自然災害や火災などに起因する生産の停滞・遅延発生による製品供給の滞り、(iii)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(iv)市販後の医薬品における新たな副作用発現、(v)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。
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ROMVIMZA™ EU Summary of Product Characteristics, September 2025.
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Gelderblom H, Bhadri V, Stacchiotti S, et al. Vimseltinib versus placebo for tenosynovial giant cell tumour (MOTION): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet. 2024;403(10445):2709-2719. doi:10.1016/S0140-6736(24)00885-7
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Stacchiotti S, Dürr HR, Schaefer IM, et al. Best clinical management of tenosynovial giant cell tumour (TGCT): A consensus paper from the community of experts. Cancer Treat Rev. 2023;112:102491.doi:10.1016/j.ctrv.2022.102491